介護情報基盤とは何か|2027年度に向けて今から準備したいこと

介護報酬改定と算定の解説

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介護現場では、LIFE(科学的介護情報システム)、ケアプランデータ連携、電子申請・届出システム、介護ソフト、オンライン請求など、デジタル化に関する言葉を耳にする機会が増えています。その中で、今後さらに重要になるのが介護情報基盤です。

介護情報基盤は、介護保険に関する情報を電子的に閲覧・共有しやすくするための仕組みです。厚生労働省は、自治体、利用者、介護事業所、医療機関等が介護情報等を電子的に閲覧できる情報基盤として、介護情報基盤の整備を進めています。

ただし、介護情報基盤は、全国のすべての自治体・事業所で同じ日に一斉に使えるようになる仕組みではありません。国の資料では、2026年4月1日以降、介護情報基盤との連携を含めた標準化対応が完了した市町村から、順次、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行や情報共を開始するスケジュールが示されています。また、2028年4月1日までに、データ移行も含めて全市町村で介護情報基盤の活用開始を目指すとされています。

この記事では、介護情報基盤とは何か、介護DXとどのように関係するのか、そして2027年度に向けて介護事業所が今から確認しておきたい準備について整理します。

介護情報基盤とは|介護DXで共有される情報と現場に関係するポイント

介護情報基盤は、介護保険に関する情報を、関係者が電子的に確認しやすくするための基盤です。紙、電話、FAX、郵送、窓口対応に頼ってきた事務手続きや情報確認を見直し、必要な情報をより迅速に共有できる環境づくりが進められています。

ここで誤解しやすいのは、介護情報基盤を、LIFE、ケアプランデータ連携、電子申請・届出システム、介護ソフト、オンライン請求などをすべて一つにまとめる「上位システム」と受け止めてしまうことです。これらは、それぞれ目的や運用範囲が異なります。

介護情報基盤は、介護DXを支える重要な仕組みの一つとして、既存のデジタル化の取組と関係しながら整備が進められているものです。すべてのシステムが一体化するという理解ではなく、介護保険に関する情報を必要な関係者が確認しやすくするための基盤として捉えると分かりやすくなります。

一次資料で示されている情報の主な例としては、次のようなものがあります。今後、運用の詳細や対象情報は変更・追加される可能性があるため、最新資料での確認が必要です。

  • 要介護認定情報
    要介護度、認定有効期間、区分変更など、サービス提供やケアマネジメントに関わる基本情報です。
  • 介護保険証等情報
    被保険者資格や介護保険に関する確認情報など、事業所や自治体の手続きに関係します。
  • 主治医意見書
    要介護認定やケアマネジメントに関係する医療的情報として、電子的な共有の対象に含まれます。
  • ケアプラン情報
    居宅サービス計画や施設サービス計画など、サービス提供の根拠となる情報です。

このほか、厚生労働省や関係資料では、請求・給付情報、LIFE情報、住宅改修・福祉用具購入に関する情報なども、介護情報基盤で扱う情報として整理されています。この記事では代表的な情報に絞って紹介していますが、実務で確認する際は、必ず最新の厚生労働省資料や自治体からの案内を確認してください。

これまでの介護現場では、「同じ内容を何度も入力する」「自治体ごとに様式や提出方法が異なる」「必要な情報を確認するまでに時間がかかる」といった負担がありました。介護情報基盤は、こうした情報の分散や重複を減らし、自治体、介護事業所、医療機関、利用者間の情報共有を進めるための仕組みとして整備が進められています。

もっとも、介護情報基盤が整備されれば、すぐにすべての現場業務が変わるわけではありません。市町村の標準化対応の進み具合、介護ソフト側の対応、事業所内のID管理、職員の操作理解などが関係します。事業所としては、制度の全体像を押さえながら、自分たちの地域で、いつ、どの手続きが、どの方法に変わるのかを確認していく必要があります。

2027年度に向けて介護事業所が確認したい準備|情報管理・ID管理・記録の見直し

2027年度に向けては、次期制度改定の動きと介護DXの実務対応を見据えながら、事業所内の準備を進める時期に入っています。介護情報基盤そのものは介護報酬の加算名ではありません。

ただし、介護DXやICT化、介護保険資格確認等WEBサービスの利用など、関連する取組に対しては、別途、加算や助成・支援策が設けられる場合があります。介護情報基盤を「算定する・しない」という視点だけで捉えると、制度の全体像が見えにくくなります。情報管理、記録、請求、関係機関との連携に関わる基盤として理解し、最新の介護報酬改定や介護保険最新情報を確認しておくことが大切です。

まず確認したいのは、自事業所が利用しているシステムと情報管理の状況です。介護ソフト、電子請求受付システム、LIFE、ケアプランデータ連携システム、電子申請・届出システムなど、事業所内では複数のシステムが使われています。それぞれのID、登録メールアドレス、管理者権限、操作できる職員を確認しておくことが、今後の実務リスクを減らす第一歩になります。

次に、介護保険資格確認等WEBサービスとの関係も整理しておきたいところです。厚生労働省の資料では、介護事業所が介護情報等の電子的閲覧等を行う際には、インターネットに接続している端末で介護保険資格確認等WEBサービスを利用することが示されています。また、介護保険資格確認等WEBサービスを利用するために、クライアント証明書の導入、端末の環境設定、カードリーダーの導入等が必要とされています。

ただし、その具体的な要否や台数、どの端末に導入するかといった運用は、事業所の利用形態や自治体・ソフト会社の案内によって異なります。すべての機能を利用するために、全国一律で同じ形の準備が必要になると理解するのではなく、自事業所の利用方法に応じて確認していくことが重要です。

あわせて、記録と請求、報告の流れも見直しておきましょう。介護情報基盤の整備が進むほど、現場記録、ケアプラン、サービス実績、請求、LIFE提出などの情報は、完全に別々の作業として扱いにくくなります。どの記録が請求や報告に関係するのか、誰が入力し、誰が確認し、どこに保存するのかを事業所内で共有しておくことが大切です。

現場で準備したいことは、次のような基本確認から始めると進めやすくなります。

  • 自治体の案内を確認する
    介護情報基盤は、市町村の標準化対応の状況に応じて段階的に進みます。所在地の自治体からの案内を確認します。
  • 厚生労働省や関係機関の最新情報を確認する
    介護情報基盤、介護保険資格確認等WEBサービス、支援策、マニュアル等は、厚生労働省ページや介護情報基盤ポータル等で更新されるため、最新情報を確認します。
  • 介護ソフト会社からの案内を確認する
    介護情報基盤との連携、API仕様、ケアプランデータ連携の取扱いなどは、事業所が使用している介護ソフトの対応状況に左右されます。
  • ID・パスワードの管理状況を確認する
    電子請求、LIFE、電子申請、介護ソフトなどのID管理者、登録メールアドレス、権限設定を確認します。
  • 担当者が一人に偏っていないか確認する
    事務担当者だけ、管理者だけに依存している場合は、複数名で基本操作や確認先を共有します。

介護情報基盤は、「システム担当者だけの話」として扱うには範囲が広いテーマです。利用者情報を正確に扱い、必要な記録を残し、関係者が適切に共有するという点では、介護職、看護職、相談員、ケアマネジャー、管理者、事務職の全員に関係します。

すべての職員が制度の細部まで理解する必要はありません。しかし、自分たちの記録や入力が、請求、情報共有、サービスの質、事業所運営に結びついていることは共有しておきたいところです。2027年度に向けた準備は、大きなシステム改修だけでなく、日々の記録と情報管理を見直すことから始まります

まとめ

介護情報基盤は、介護保険に関する情報を電子的に閲覧・共有しやすくするための仕組みです。要介護認定情報、介護保険証等情報、主治医意見書、ケアプラン情報などを、自治体、介護事業所、医療機関、利用者等が確認しやすくする基盤として整備が進められています。

一方で、介護情報基盤は、全国一律に同じ時期・同じ方法で使い始めるものではありません。国の資料では、2026年4月1日以降、介護情報基盤との連携を含めた標準化対応が完了した市町村から順次、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行や情報共を開始し、2028年4月1日までに、データ移行も含めて全市町村で介護情報基盤の活用開始を目指すスケジュールが示されています。

2027年度に向けて、まずは自事業所のシステム利用状況、ID管理、登録メールアドレス、担当者、記録と請求の流れを確認しておきましょう。介護保険資格確認等WEBサービスを利用する場合は、端末設定、クライアント証明書、カードリーダー等の準備が関係する場合もあります。介護情報基盤への準備は、介護DXへの対応であると同時に、日々の記録と情報共有を見直す機会にもなります。

【次回の内容】
介護BCPは作って終わりではない|自然災害・感染症対策を現場で動かす方法を取り上げます

参考・出典

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梅沢 佳裕

ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表
最新福祉情報サイト【介護キャンパス】主宰
梅沢 佳裕

社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター他。
東京都を拠点に、介護・福祉事業所の人材育成、管理職研修、法定研修、制度改正対応、BCP、カスタマーハラスメント対策などをテーマに、研修講師・コンサルティング・執筆活動を行っています。

最新福祉情報サイト【介護キャンパス】では、介護保険制度、介護報酬改定、虐待防止、身体拘束廃止、介護記録、ケアマネジメント、人材育成など、介護・福祉現場に必要な情報を実務者目線で発信しています。
公的資料や最新通知を確認しながら、制度と現場実践をつなぐ分かりやすい解説を心がけています。

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